岩手県久慈市
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市政情報

渡辺隊員の紹介



 渡邉勇(わたなべ いさむ)さんは2015年4月、久慈市初の地域おこし協力隊となりました。以来、彼の活動は地元マスコミ各社に取り上げられるなど常に注目を集めてきました。あとに続く協力隊員らをけん引するかのように活動を進める渡邉隊員、彼はどのような姿勢で活動に携わっているのでしょうか?

東日本大震災と第1次産業への思い

 ――渡邉さんは農政課所属で山根支所勤務ですね。私(筆者)は昨年、山形総合支所勤務でした。山根と山形は隣接しているので接点があるだろうと思っていましたけれども、昨年12月ころまで月1回行っていた協力隊と集落支援員が集まっての情報交換会でしか顔を会わせることがなかったように思います  
 渡邉 
情報交換会の場以外では「ぐれっとやまがた街道祭」に僕が出かけたときぐらいかな。意外に会う機会は少なかったですね。
 ――さて、渡邊さんの活動と言えば「ベーグル」や「イワナの薫製」など「食」による地域おこし活動が強くイメージされます。前職はプロの料理人だったのでしょうか?

 渡邉 一人暮らしの期間が長かったので料理はよくしますけれど、趣味程度ですね。食べることは好きなのですが特別、食の分野に詳しいというわけではありません。山根の農産物・特産物などに出会って、そこから何をしようかと考えて取り組みはじめたという経緯です。前職は訪問歯科医のコーディネーターです。
 ――訪問歯科医のコーディネーター?
 渡邉 最近の歯科医は老人ホームなどに出張して治療を行っているんです。こうした歯科医の訪問スケジュールをつくったり運転して施設まで同行したりとか、まさにコーディネートする仕事です。僕は三鷹市(東京都)の出身ですが、隣接する武蔵野市でこの仕事に就いていました。

 ――そうした渡邉さんがなぜ久慈に?
 渡邉 
2011年の東日本大震災がきっかけです。実際にどういった状況になっているのか震災後に数回、岩手の南から北までの沿岸に足を運びました。もちろんこの中には久慈も入っています。久慈はほかの沿岸市町村にくらべると多少、被害が少なかったからなのかもしれないのですが「いいところだな」と思いました。
 そうこうしているうちに、久慈市が地域おこし協力隊を募集していると知ったわけです。僕はもともと1次産業に興味があり、農業支援セミナーといったような講座を受講したりしていました。協力隊の募集を知ったときは、ちょうど農業や水産業などにかかわる仕事がないかなと考えて探しはじめていた時期でもあったんです。
 ――食の分野の活動に積極的な理由はそうした思いがベースにあるからなのですね
 渡邉 
協力隊の面接試験では「(山根で)前職のスキルは活かせるのか?」と質問されました。老人ホームなどを訪問していたので「コミュニケーション能力に自信があります」と答えたけれど、当初は久慈弁がわからなくて…(笑)。いまはだいぶ慣れましたけれど。

地域の希望の光に ~世帯戸数の雪灯り~

 ――では、昨年度の活動をピックアップして紹介していただけますか
 渡邉 
協力隊に就いて最初に形にしたものは「べっぴんベーグル」。「ゴールデンウィークにイベントをやるから何か目玉になるアイデアをだしてくれ」と言われて開発しました。小豆(あずき)や稲キビなど地の雑穀を活かして作ったベーグルなんですがべっぴんの湯で、また桂の水車広場で4月から12月のあいだ月1回行われている「くるま市」、5月と11月に開催されている大型イベント「水車まつり」などで販売しました。
 また、「イワナの薫製」は旧山根小中学校で昨年11月8日に開催した「べっぴんの湯感謝祭」の場で試食してもらいました。このイワナも山根産のもので、内臓を取り除いてサクラチップでいぶし7日から10日かけてつくったものです。

  

 ――食の分野以外にも、注目された活躍がありましたね。「山根雪灯り」(ゆきあかり)はデーリー東北や岩手日報など数紙で報道されました
 渡邉 山根雪灯りは今年1月31日から2月7日までべっぴんの湯の駐車場を使って開催しました。高さ1.7mの大きな雪神座(ゆきかくら)をシンボルにして、30センチほどの雪灯籠を50個、そして雪玉の中にキャンドルをセットした164個の雪灯りを期間中の毎日、16時から19時までのあいだ火を灯しました。
 ――雪神座?
 渡邉 山根では畑などから両手大の「石」がごろごろでてきたそうなんですが、山根の人々は古くからこれを神の寄り代(*筆者注=神が降りてくる場所)として畑の脇に積み上げて五穀豊穣を祈ってきたといいます。これを「石神座」(いしかくら)と言うんですね。
 石神座はいまでも見ることができまして、平成2年に「神座まつり」を開催するときに端神集落の人たちが造った「清水川の大かくら」が街道沿いにあります。
 ――地域の伝統文化を雪で再現したということですね
 渡邉 そうです。山根では雪のイベントが行われていないと聞いたので企画しました。山根ならではの雪灯り、ほかにない雪灯りにしたかった。地元の児童や住民のみなさんと一緒に作業してつくったんです。ちなみに164個の雪灯りは山根の世帯数164戸を表しています。「地域の希望の光に」という願いを込めています。

 ――すばらしいコンセプトですね。集客はいかがでしたか?
 渡邉 
期間中の入場者数は約2,000人、前年同期比の10パーセントアップの結果でした。と言いましてもこの数字はべっぴんの湯入浴者数で、雪灯りを見にきただけの人の数はカウントされていません。若い女性2、3人のグループなど多くの若い人が見にきてくれていたことなどを考えると、高齢化の進む冬の山根に元気を運ぶイベントになったのかなと思っています。
 ただ、10日前に実行することを決めたイベントだったため事前告知が十分ではなかったんですね。ですから来年は、1か月くらい前から告知をしようと思っています。それから、今年は164(戸数)だったのですが、次回は「山根の人口約350」の雪灯りにすることを検討しています。
 ――事前告知と言えば、渡邉さんの活動は岩手日報やデーリー東北に記事として掲載される場合が多いですよね。もちろん記者側にすれば「渡邉さんの活動は書く価値がある」と判断してのことでしょう。価値ある活動と評価されるような発想また企画はどうやってひねり出しているのでしょうか?
 渡邉 
僕が、農政課および山根支所と協力して取り組むべきこととして与えられているミッションのテーマは「過疎化が進む山根を維持・発展させる」こと。交流人口を拡大させるために取り組んでいるのが、大豆や雑穀などの地域資源を活用した特産品の開発と情報発信、伝統芸能の保存や伝承活動などになるわけです。
これを正面から捉えて自分ができることを精一杯やっているだけで、特に秘密や秘訣があるわけではありません。あえて言うならば、繰り返しになりますが「正面から捉えて取り組んでいる」ことが秘訣ということになるのかな?
記事に取り上げられることが多いのはなぜかという質問に答えると、これも「やるべきことをやっている」と言うほかないのです。

 言いましたように「情報発信」も僕のミッションになっています。それであれば「こうしたイベントをやるから見にきてください」と告知するのは業務の一環です。
 昨年度、僕は久慈市の協力隊担当である二又壽大さん(昨年度・農政課、今年度・地域づくり振興課)と一緒になって「ニュースリリース」(報道資料)をつくっていました。もちろん今年度も、昨年度と同じように山根支所や農政課のみなさんと一緒になってつくっています。おろそかにするつもりはありせん。
 リリースなどの告知資料を報道各社に配布するので、記事にしてくれる確率が高くなっているんです。
 ――なるほど。記事にしないと判断するにしても記者はニュースリリースには必ず目を通しますからね。何もしないと記者は知らないでいることが多く、記事になる可能性は限りなくゼロに近い。でも、企画や実施準備に追われるなかでも、そこまできちんとやっていることが渡邊さんの活動の特徴なのだと思います


端神集落にある石神座「清水川の大かくら」。山根では古くから五穀豊穣を願い石神座がつくられてきました

若い人たちを巻き込みたい ~継続してこその活性化~

 ――渡邉さんは協力隊員第1号ですから「協力隊の活動意義」あるいは「協力隊とは何か?」という質問をします。ご自身ではどのように考えていますか
 渡邉 先日、久慈市のシニアスポーツ大会が開催されました。
山根町は例年、下から数えたほうが早い成績だったんですが、今年は総合成績で11チーム中7位になりました。なかには1位を取った種目もありました。

  

 こうした成績を勝ち取れたのは「チームワークがよくなったから」だと思っています。
 僕は、地域の人々と一緒になって行事やイベントを開催する姿勢を基本にしています。その結果、住民どうしが交流する機会がふえ、知恵を出し合い一緒に汗を流すことが多くなった。僕に限らず、協力隊員らがもたらす効果はここにあるのだと思います。
協力隊がきたという期待感がまず住民に起こって、住民の間で動き回って活動する協力隊を媒体にして地域住民の交流が活発化するようになっていく。
 つまるところ、協力隊とは「活力を引き出す機会をもたらす存在」ではないかと考えています。

 ――特に、山根は人口も少なく高齢化が進む地域ですから「活力」という言葉が今後、とても大切なキーワードになってきますね
 渡邉 その通りです。たとえば、くるま市を主体になって運営しているのは70~80代の人たちなんです。今後の課題として、僕は若い住民を巻き込む方法を考えたいと思っています。山根にUターンで帰ってきた人や定年退職後に山根に住みはじめた60代の人たちも含めてです。
 若い人たちに地域を盛り上げる活動に参加していただかないと、山根の行事や集客イベント、また新たにはじめたチャレンジも早晩、続けることができなくなってしまいます。1回で終わらせるのではなく、継続してこそ「山根のものだ」という認知を受ける。継続あってこその活性化だと考えています。

 ――7月16日に旧山根小中学校で行われる「第2回山根サマーフェスティバル」では「べっぴんカフェ」という飲食店を展開すると聞きましたが…
 渡邉 地域の人たちと山根未来づくりサロンという事業を通して「食」をキーにした地域おこしをしようというチームを組んでいまして、これまで何回も話し合ってきた結果、山根産の食材を使用した1プレート料理を提供しようということになりました。
 今回のサマーフェスティバルの店舗は仮営業というかたちなのですが、今後は固定した場所で営業していくことを検討しています。
 サマーフェスティバルでは700円で、山菜ごはん、おからハンバーグ、山菜煮びたし、豆乳ポタージュの1プレート料理を販売します。またオプションで豆乳ゼリーを用意しています。コーヒーは150円です。

  

 ――そのほかにも、秋に収穫を控えている農作物がありますね。「幻の大豆復活へ」という見出しで新聞に紹介されました
 渡邉 デーリー東北の今年6月4日の記事ですね。山根では「山白玉」(やましらたま)という大豆が30年ほど前までつくられていたそうなんです。味がいいと当時は全国的に評判だったといいますが、病気に弱かったりして手間がかかるので衰退していったと聞きました。後継者不足などが影を落としたのだろうと思います。しかし味はいいわけで、これこそ眠っていたお宝だと思いました。
 の山白玉大豆を復活させようと、6月3日に地元の人々と一緒になって上戸鎖の畑に苗を植えました。10月末ごろに収穫できると思います。

 ――農業がしたかったと言うくらいですから、まさに本領発揮と言える部分なのかな 
 渡邉 僕は山白玉大豆を山根のブランドとして売り出していきたい。流通・販売まで一貫して行う6次産業化にもっていき地域活性化の起爆剤にしようと考えています。
 ――さまざまなアイデアを次々と実行に移していますね
 渡邉 現在、任期終了までのちょうど折り返し地点です。どう協力隊をフィニッシュしていこうかと考えているところですが、久慈市が新たに協力隊を募集する際の参考事例になるよう今後も積極果敢にチャレンジを続けていきます。そして、任期終了後も久慈で暮らしていく予定です。
 ――本日は長時間にわたりありがとうございました

*収録2016年7月8日 聞き手 宇部芳彦(地域おこし協力隊) 











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